その他

顧客を裏切らない、かしこい値上げの方法

投稿日:2026年10月13日 更新日:

2026年5月29日に公表された「2026年版ものづくり白書」に、製造業の値上げの現状を示すデータが載っています。

この3年間で製造業が実施した企業行動を聞いた調査で、最も多かったのは「価格転嫁」、つまり取引先への値上げでした。その割合は80.6%。賃上げ(79.4%)や設備保全(64.5%)を上回って、トップです。

製造業の約8割が、すでに一度は値上げに踏み切っているということになります。

上乗せできたもの、できなかったもの

値上げで上乗せできたコストの中身を見ると、原材料価格の高騰分が89.4%、労務費の高騰分が73.9%、エネルギーコストの上昇分が61.4%でした。

一方で、関税の上昇分を上乗せできた会社は4.9%にとどまります。上乗せしなかった理由として多かったのは、「影響を精査しきれていない」(29.4%)と、「関税を理由にした値上げは理解が得られない、交渉が難しい」(10.5%)でした。

もうひとつ、気になる数字があります。今後1年以内に値上げを予定している会社が半数を超えたのは、輸送用機械(58.3%)と鉄鋼業(56.5%)の2業種だけでした。

顧客を裏切らない、かしこい値上げの方法

WEB担当の目には、こう見えました

私たちはWEB制作を生業にしていますので、経営のプロではありません。ただ、いろいろな工場を外から見てきた立場として、ここまでの数字を並べると、ひとつの流れが見えてくるように思いました。

製造業の8割は、この3年で一度は値上げをしました。一方で、これからの1年に値上げを予定している会社が半数を超えた業種は、2つしかありません。つまり多くの工場はいま、「次の値上げ」をどうするかという段階にいます。そしてこの次の値上げは、最初の値上げよりずっと難しいのではないでしょうか。最初と2回目とでは、事情がまったく違うからです。

最初の値上げには、誰が聞いても分かる理由がありました。原材料が上がった、電気代が上がった。取引先も同じ状況にあるので、説明すれば納得してもらえます。

ところが2回目以降は、そうはいきません。分かりやすい理由は、もう使ってしまいました。関税のように影響が見えにくいものは、自社でも説明しきれず、相手にも理解されにくい。関税の上乗せが4.9%にとどまっているのは、その象徴に見えます。

多くの工場が次の値上げに踏み切れずにいるのは、上げたくないからではなく、上げる理由を説明しきれる自信がないからではないでしょうか。

では、センターピンはどこにあるのか

私たちは「センターピンの隣に、WEB有り。」という言葉を掲げています。ボウリングで1番ピンを外すと、どれだけ強く投げても全部は倒れません。会社の課題も同じで、急所を外した施策は労力のわりに結果が出ないと考えています。

お客様が値上げを「裏切り」と感じるのは、値段が上がったからというより、上がる理由が見えないからではないでしょうか。理由が見えていれば、値上げは納得に変わります。見えていなければ、同じ金額でも不信になります。

そして2回目以降、取引先が見ているのは、もうコストではありません。「この会社は、この値段に見合うのか」という一点です。

だとすると、値上げのセンターピンは交渉術でも原価の説明資料でもなく、「自社の価値が、相手に正しく理解されているか」ではないかと私たちは考えています。理解されていれば、値上げは交渉ではなく確認になります。「あの会社なら、値上げされても頼みたい」という判断が先にあるからです。

厄介なのは、実力はあるのに正しく評価されていない工場が多いことです。取引先の担当者が代わった途端、値段だけで比較されるようになる。前任者が知っていた価値は、引き継ぎ書には書かれないからです。

かしこい値上げの方法

ここまでをまとめると、かしこい値上げの方法は2つの準備に整理できます。ひとつめは、上げる理由を、自社で説明できるようにしておくことです。原材料、労務費、エネルギー。何がどれだけ上がったのかを把握しておく。白書で「影響を精査しきれていない」が最も多かったことを見ても、まずここが最初の壁になっています。

ふたつめは、値上げを切り出す前に、自社の価値が相手に伝わっている状態を作っておくことです。コストの説明は「なぜ上げるのか」には答えられますが、「なぜこの会社に払うのか」には答えられません。そこに答えるのは、日頃から伝わっている価値です。

かしこい値上げとは、うまく切り出すことではなく、切り出す前の準備で決まる。私たちはそう考えています。

ここまでが、今回の白書から私たちが考えたことです。

顧客を裏切らない、かしこい値上げの方法

ここから先は、WEBのプロとしての話です

では、価値が伝わっている状態は、どこで作られているのでしょうか。

取引先に新しい担当者が着任すると、多くの方はまず社名で検索し、会社のサイトを開きます。そこに技術の背景や実績の中身が書かれていれば、それが評価を形づくります。会社概要が数行あるだけなら、評価の材料は見積書しかありません。

最近は、人が読む前に生成AIが読んで要約し、その要約が相手に届く場面も増えてきました。自分の知らないところで、自社の説明が作られ、配られているわけです。

念のため申し上げておくと、会社を格好良く見せましょう、という話ではありません。実態より大きく見せれば、後で期待外れと言われるだけです。必要なのは、本当の実力と、それが発揮されたときにどれだけ役に立つのかを、正確に理解してもらうこと。飾るための表現ではなく、正しく評価されるための表現です。それをどこでやるかと考えていくと、この時代はウェブサイトに行き着くことが多い、というだけの話です。

製造業の8割は、すでに一度値上げをしました。差がつくのは、次の値上げです。

 

ご参考まで

御社の実力が、外からどれだけ伝わっているか。検索したときに何が出てくるか、訪れた方がどこで帰っているか、生成AIは御社をどう説明するか。この3点を無料でお調べしています。調べた結果、「今のままで大丈夫です」と申し上げることもあります。

出典:経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2026年版ものづくり白書」(2026年5月29日公表)。価格転嫁の数値は、同白書作成のための三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査(令和7年度)に基づく。

センターピンの隣にWEBあり マーカーネットではビジネス課題に対して、WEBサイトで解決の可能性を探ります。 BtoBでの効果的な情報発信に、ぜひWEBサイトをご検討ください 資料請求・お問い合わせはこちら

著者名:代表取締役 塚 尚益

マーカーネット株式会社が、WEB制作・SEO・マーケティングに関する最新情報や実務に基づいたノウハウをわかりやすく発信しています。

-その他

関連記事

ものづくり白書から読み解く、経営者の能力差

ものづくり白書から読み解く、経営者の能力差

2026年5月29日、経済産業省・厚生労働省・文部科学省の3省がまとめた「2026年版ものづくり白書」が公表されました。今年で26回目、250ページを超える報告書です。 製造業の経営者の方でも、全部に …

給与アップだけでは人は来ない。求人倍率8.98倍の現実

給与アップだけでは人は来ない。求人倍率8.98倍の現実

リクルートワークス研究所が公表した2026年卒の調査に、目を疑う数字がありました。 従業員5,000人以上の大企業の求人倍率が0.34倍。これに対して、300人未満の中小企業は8.98倍です。 言い換 …

10/24(金) 医療従事者交流会レポート!大盛況のうちに終了いたしました

10/24(金) 医療従事者交流会レポート!大盛況のうちに終了いたしました

10月24日(金)18時から、弊社オフィスのある西新宿Dタワーにて開催いたしました、医療従事者のための交流会は、大盛況のうちに終了いたしました。 当日は20代から50代までの幅広い年代から約30名の方 …

8月28日木曜【新宿】医療業界でつながる会|医療に携わる幅広い交流会が行われました!

8月28日木曜【新宿】医療業界でつながる会|医療に携わる幅広い交流会が行われました!

先月、8月28日木曜18:30から、西新宿で、医療業界交流会を開催いたしました。 初秋の風が心地よいとはいえないまだまだ暑い日に、ご足労頂きましたご参加者様、ありがとうございました。 西新宿の景色を一 …